電気自動車普及の波がついに軽バンにまで

最近軽自動車のEVもでてきたけど、仕事用の車はどうなってるんだろう?
環境にやさしい乗り物として「電気自動車(EV)」が注目され、国産各社もラインナップが揃ってきました。外出先でもEV充電スポットなど見る機会も大きなり、常用できるインフラが整備されてきたと感じます。
2020年代になりついに軽バン商用車にもEV化の波が訪れ、各社開発リリースが出揃ってきました。ここで今の時点でEVは仕事に使えるのか?どのような問題があるのか、メリットについてまとめてみました。
- 2023年各社のEV状況
- 軽貨物の仕事に今のEVはつかえるか
- 軽貨物でEV導入のメリットデメリット
軽自動車のEV化が遅れた理由とは
軽貨物目線だと三菱のi-MiEV(アイ・ミーブ)が2009年に軽自動車規格として初めて製品化され、軽バンなど商用車にも普及するかと思われましたが、その後ラインナップが増えることもなく時間が経過しました。
- コスト面:軽自動車市場は、価格が低くコスト競争が激しいため、電気自動車の高価格が軽自動車市場においてはネックとなります。
- 走行距離の制限:電気自動車は充電インフラが整備されていない地域では、充電スタンドが少ないため、走行距離の制限がより顕著になります。
- 購入層の違い:軽自動車は、比較的小規模な家族などの層が購入する傾向があります。一方、電気自動車は、比較的高価であり、かつ、走行距離や充電スタンドの問題もあり、購入層が限られているとされています。
- 開発の遅れ:軽自動車市場における電気自動車の導入が遅れている理由には、技術的な制約があるとされています。軽自動車は、車体サイズや重量が小さく、バッテリーの設置スペースが限られているため、バッテリーの性能向上や車両の軽量化が必要です。また、軽自動車の場合、低価格での提供が求められるため、バッテリーなどのコストも重要な問題となります。
今の軽バン電気自動車 EV 各社の状況
2011年 三菱の軽バンEV「ミニキャブ・ミーブ」の登場

そんな中2011年に軽自動車EVをリードする三菱自動車から初の軽バンEVが一般向けに発売されました。
同社の軽バン「ミニキャブ」がベースで、ボディにコンセントの図柄が入った車は街でも時折見かけることがあるので、そこそこ普及したのだと思います。
満充電での走行距離 | 満充電時間 | 車体価格(税込) | クリーンエネルギー 自動車導入事業費補助金 |
133km | 7時間(AC200V15A) | 2,431,000円 | 170,000円 |
やはり走行距離が短い
<メーカHPより>

メーカー公称値で満充電133km走行なので、実際はもっと短いでしょう。”移動範囲が限定される配送業”とまで指名しているので現状はほんとうに町内〜隣町くらいまでの配送に限定されると思います。
アマゾンフレックスは厳しいでしょう、フードデリバリーのチャーターでも1日100kmは走るので厳しいです。
スズキ、ダイハツ、トヨタは共同開発
インパクトのある発表だが中身はふんわり
スズキの「エブリィ」、ダイハツの「ハイゼット」といえば2大軽バン車種ですが、ライバルであるはずの2社にトヨタが共同開発というのは驚きますね、それだけEVのコンポーネントの開発は1社で行うのにはリスクがあるのか..
発表内容に関してはまだ確定要素が無く、2023年に実証試作車ができるらしいですが、かなりふんわりとした内容ですね。
満充電での走行距離 | 車体価格 | 発売時期 |
三菱車程度?100km前後か(一部報道) | 低価格目指す | 2025年以降? |
2024年 ホンダのN-VANベースEVの登場

ホンダは2020年に「ホンダe」というEVを発売しています。第2弾として2022年12月に発表されたのが、軽バン「N-VAN」をベースにしたEVです。
満充電での走行距離と、100万円台という価格設定が軽バンEVをかなり身近なものとしてくれそうです。
満充電での走行距離 | 車体価格 | 発売時期 |
200km(開発目標値) | 100万円台 | 2024年春 |
軽貨物の仕事にEV車がどれだけ使えるか検証
現状情報がある中で一番軽貨物の仕事に使えそうなのが、「ホンダのN-VAN EV(仮)」ですが、一回の満充電で200km走行できればアマゾンフレックスの仕事は1日できると思われます、フードデリバリーも問題なさそうですね。

かなり増えてる充電スポット
最近「EVチャージ」の充電スポットの看板をよく見るようになりましたね
充電スポット検索というサイトから地図より充電スポットの場所の検索ができます。
表示されてるスポットでも例えばディーラー併設などの場合、店舗が休みの時は使用できないなど制限もあるので現状事前に調べておくのがよさそうです。

上は都市部で検索しましたが、郊外ではどうでしょうか?
ガソリンスタンドほどではないですが、想像したよりはありますね。

- カード決済:クレジットカードやデビットカードを利用して、充電料金を支払う方法です。充電スポットに設置されたカードリーダーでカードを読み込み、指示に従って支払いを行います。多くの場合、事前にカード登録が必要になる場合があります。
- アプリ決済:スマートフォンのアプリを利用して、充電料金を支払う方法です。アプリをダウンロードし、事前に登録したクレジットカードや電子マネーなどで支払いを行います。
- 会員制度:充電スポットを運営する会社が、会員制度を設けている場合があります。会員登録を行い、充電料金を支払うことで利用することができます。
- 現金払い:一部の充電スポットでは、現金で充電料金を支払うことができる場合があります。ただし、現金払いができる充電スポットは限られており、あらかじめ確認する必要があります。
中長距離スポットに使えるか
スポット配送はどうでしょうか、軽貨物の仕事で一番フレキシブルな動きを要求される仕事ですが、一度に片道200km走れればOKとすれば関東圏内であればカバーできそうですが、往復案件などの場合充電をしなければいけないので案件に対応できる瞬発力という点では厳しいですね。
中〜長距離の配送はどうでしょうか、東京から名古屋、新潟、仙台へ向かう場合おおよそ走行距離は300kmありますので。計算上途中1回の充電は必要でしょう。
ミニキャブ・アイミーブの場合は急速充電約30分間でおよそ80%程度の充電が可能だそうです。1回の充電で300kmギリギリ着きますかね…
また高速のSA等にある充電スポットは1回30分までの制限があり設置台数は2台前後です。大型連休や土日祝等は充電スポット待ちの時間ロスがあるかと思われます。
ガソリン車のように、スタンドで燃料さえ入れればすぐ走れる
事と比べるとストレスではありますね。
エアコン使用や待機時間等のロスに注意
メーカーが公表してる数値は理想の値なので、ここからエアコンを使用したりすればそれだけ走行距離は減ります。アマフレのブロック間や倉庫の待機などで長時間走行しない場合でも、バッテリー残量は減るので注意が必要です。
そもそもEV導入のメリットは
- 環境への負荷が低い:電気自動車は、発生するCO2やNOxなどの排気ガスが少なく、環境への負荷が低いとされています。また、再生可能エネルギーを使った充電を行えば、エネルギーの消費量も削減できます。
- 静粛性が高い:電気自動車は、エンジンがないため、走行時の騒音が少なく、静粛性が高いとされています。
- 燃費がよく、経済的:電気自動車は、充電のみで動くため、ガソリンや軽油などの燃料代がかかりません。
- 走行性能が良く、加速がスムーズ:電気自動車は、モーターから得られるトルクが大きいため、加速がスムーズで、走行性能が良いとされています。
- メンテナンスが簡易的:エンジンやトランスミッションがないため、メンテナンスの必要が少なく、整備費用が低いとされています。
- デザインの自由度が高い:電気自動車は、エンジンルームの必要がないため、車体デザインの自由度が高く、より斬新なデザインの車両が開発されています。
燃費がかなり安い
現在電力燃料事情はかなり激しく変動していますが、それでも現在の試算で1万キロ走行あたりかなりの燃費差がありますね。
電気自動車1万km走行 | 1538kWh×25円/kWH | 38,450円 |
ガソリン車1万km走行 | 666L×155円/L | 103,230円 |
ほかにも自動車重量税」は新車登録時と初回車検時が免税(0円)、「自動車税」は新車登録年度の翌年度分が75%軽減されます。
購入時の自治体等による補助金もあるので、現段階でホンダN-VAN EVのような価格の車が本当に発売されればランニングコスト含め、かなり安く導入できそうです。
一番のネックはバッテリーの寿命と交換費用
電気自動車はスマホと同じくバッテリーから電力を供給しますが、これもスマホと同じく使用とともに劣化していきます。
EVのバッテリーの交換費用ですが、現在流通しているEV車で70万円〜だそうです。
いままで話してきた、燃費がいい、税金類が安いなんて話吹き飛んじゃいますね。しかしメーカーも保証をつけていて、あるメーカーの場合”8年間”または”走行16万キロ”までのどちから早い方に達するまでに、バッテリー性能が約7割を切った場合は、修理や部品交換を行うという保証をつけています。
ここが商用車だと違う話で乗用車なら8年や走行16万キロなんて、それを超えて乗るのにそんなに費用を払うなら買い替えますよね。
軽バンの場合どうでしょうか、個人で軽貨物をやっているなら電池を交換するか乗り換えるか微妙なラインですね。今後さらにEVが普及すればさらに性能もあがり交換するにしても費用が下がる可能性は大いにあると思います。
走行税の導入議論も見逃せない
ガソリン車がなくなれば高価なガソリン税収は0になるわけで、かわりに電気自動車(EV)ハイブリッド車(HV)プラグインハイブリッド車(PHEV)などのエコカーに、走行距離に応じた”走行距離税”の検討がなされています。
可決された場合にどの程度の負担になるかは全く未定ですが、せっかく維持費のやすくなったEV等に水を差すことになるのは確かですね。
さいごに
いずれ絶対に軽バンEVに乗る時は来る

電気自動車で仕事をする未来が楽しみだね!
日本では“2035年までに新車販売の割合が電気自動車100%”という目標が発表されています。
現状のメリットデメリットを調べてみましたが、軽バンも全て電気自動車になる時代が近い将来必ずきます。
この記事の執筆時2023年春には、実際購入できる軽バンEVは1車種しかありませんが、充電スポット等インフラも続々整備されてきていますね、各社軽バンEVが出たら価格含め激しい競争になるでしょう。どんな軽バン、軽トラックがでてくるか楽しみですね。
最後までお読みいただきありがとうございました!